ベルセルクのグリフィスに学ぶ、ピクスタ社長のネットベンチャー論

ベルセルクのグリフィスに学ぶ、ピクスタ社長のネットベンチャー論

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みなさんこんにちは、私はWEBCRE8.jpというWeb制作/デザイン/HTML5等のブログを運営している、Web制作者の酒井優(@glatyou)といいます。私のブログでは基本的にWeb制作に関係のあることしか書いていないので、ネタ記事を思いついたときは人のブログなりnoteなんなりに書いています。

先日、ピクスタが運営するピクスタアンテナというオウンドメディアの記事で代表の古俣さんという方が書かれていたネットベンチャーを8年間やってきて学んだ20のことという記事を読んだのですが、これを読んでいて私の頭にはある人物が浮かびました。

それはマンガ『ベルセルク』のグリフィスです。

ベルセルクは隔週刊雑誌ヤングアニマルで長期連載中(休載多し)のファンタジーマンガで、剣と魔法の世界での主人公ガッツと宿敵グリフィスとの戦いを描いたものです。以下画像はコミックスからの引用です。リンク先はAmazonかe-honで、本の情報を確認できます。

銀髪をなびかせ馬上からまっすぐに前を見据えるグリフィス。

グリフィスは元々は人間で主人公ガッツの仲間でありライバルでもあったものの、下手を打ったため自らの野望への道を閉ざされてしまいます。そしてその苦境から這い上がるため、超越者であるゴッドハンドと契約して自らもその一員となり、かつての仲間を皆殺しにしてなおも自分の野望への道行きを再開する、という人物です。

この記事では前述の記事で挙げられているネットベンチャーに関する教訓を、グリフィスの快進撃になぞらえて考えてみようと思います。私としてはこう考えることで非常に納得感がありましたね。

何をやるか、どこまでやるか

まず起業に際しては、何をやるのかが最も重要です。どこまでやるつもりなのか、も何をやるのかと同じぐらい重要です。とありますが、グリフィスの場合は自分の城、王国を作るのが目的です。

グリフィスはガッツに自分の野望を告げます。

非常にわかりやすい目標で、要は王様になりたいわけですね。これについてグリフィスは確固たる目的と到達点を持っていると言えるでしょう。

退路を断つ

グリフィスは自分の野望のためならどんな犠牲もいといません。グリフィスが自力では自分の夢はもう叶わないと悟ったとき、ゴッドハンドに自分の大切なもの、つまり自分を信頼する仲間たちを生け贄に捧げます。

蝕によってかつての仲間は葬られ、鷹の団は壊滅します。

非情になりきり還る場所を捨てることでグリフィスは前に進んだのです。

資金の用意

ここでいう資金とは国を作るための資材や環境づくりのための人件費などになると思いますが、グリフィスはこれらをどこからともなく集めてきています。

壮大な城を建て、多くの人々を助けることで味方につけています。

これは言ってしまえば超越者としての力に任せたもので、ある意味増資のようなものです。人間だった頃からグリフィスは夢への足がかりを得るためにときに王族に体を売ったりもしています。本当に、自分の野望のためには手段を選ばないわけです。

仲間集め

グリフィスは以前からその絶対的なカリスマ性で仲間を集めるのも得意でした。記事では仲間として理想的な人材を元同僚または職場の後輩としていますが、以前の仲間は皆殺しにしています。

仲間も人外、戦いのプロフェッショナルを揃えます。

とはいえゴッドハンドになってからは既にステージが違っており、単なる人間を仲間にするよりは竜や怪物を仲間にした方が目的にも合っています。一緒に仕事したことがないとは言え、既に過去の活躍を知っている人材を揃えたのは正解でしょう。

株主について

株、つまり決定権は鷹の団やファルコニアにおいては基本的にグリフィスのみが持っているようです。記事では株について自分が8割以上のシェアを持つこと、外部株主にはいい人を選ぶこととありますが…グリフィスが失敗すればおそらく決定権は他のゴッドハンドたちが持っていくでしょう。
とてもいい人ではない外部株主

ここにちょっと現体制の危うさがあるように思います。ほころびが生まれるとすればここがその原因の一つになるのは間違いないでしょうね。おそらく失敗も許されないでしょう。

起業時の姿勢

起業時のオフィスをケチる、同期の仲間を作っておくという項目についてもグリフィスはちょっと特殊です。気付いたらいきなりものすごいスケールの城を作ってますし、同期または後輩とも言えるガニシュカ大帝とは真っ先に戦争しています。そしてメンターはやはりゴッドハンドです。

ゴッドハンドは腕のよいメンターです。

格下にヘコヘコするわけにもいかないんでしょうけど、ゴッドハンドはおそらく先輩ばかりでしょうからそういう意味では意見の共有やアドバイスが得られるような仲間はグリフィスにはいないことになります。

とはいえ、グリフィスがここまで来るには間違いなく他のゴッドハンドの助言もあったはずなので、メンターには恵まれていたことになります。

ネーミング

名前はグリフィスの思い入れのある鷹の団をそのまま使っています。これ以外にないというネーミングではありますし、求心力も間違いなく高いはずです。鷹の団って、「事業のコンセプトが感じられて」「覚えやすくて」「ちょっとひねりが効いている」名前ですよね。後にグリフィスが建国したファルコニアという名前はちょっとまんまじゃねーかって感じですけど。

人外の集団が鷹の団を名乗っているのは異様ではあります。

ガッツはこの名前を聞いて怒り狂いますが、商標的なものはグリフィスにありますので何とも言えないですね。敵愾心は煽っちゃってますが…。

商品・サービスのリリース時には広報に力を入れる

この世界背景の上で、グリフィスが外敵の襲来から民衆を守ってくれるということを触れ回るのは容易なことではないでしょうが、そこをグリフィスは夢を介した天啓のビジョンを見せることで解決しています。

民衆は同じ日の夜に鷹が現れる夢を見ています。

こうすることで民衆は同じ方向を向き、一押しで動いてくれるようになっています。もちろん、法王庁教皇のようなインフルエンサーをその気にさせたことも大きいでしょう。

周りのバックアップ

事業へのアドバイスは話半分で聞くに関しては、アドバイスをもたらすような相手が存在しません。士業業務(ここでは組織を回すための仕事)は一刻も早く外注するということに関してはちゃんと周りに仕事を振っています。

クシャーンなど、外部の者に仕事を与えています。

グリフィスはおそらく自分にもできるようなことまで周りに任せたりもしていますが、戦の陣頭指揮や鎮魂などの目立つ仕事は自分で行っています。この辺もうまくカリスマ性を保つための工夫ですね。力技でなんとでもなりそうなのに意外と考えています。

実績は買ってでもつくる

実績としてはまず鷹の団という過去の名声を持っているため、民衆に信用してもらうのも簡単でした。そもそも最強軍団なので、そこからは粛々と戦いを続けていくだけですね。

鷹の団、そしてグリフィスという英雄の名前が強大です。

覚悟と成功

グリフィスは覚悟も十分ですし、一度罪人として捕らえられてしまってからこうして持ち直していることを考えると成功まで諦めずに続けるという一番大事な素養があります。

グリフィスを突き動かしているのは幼い頃の原風景です。

気になるところ

さて、こうして見てみるとグリフィスは古俣さんの述べている通りのことができていることも多いですが、その反面

  • 事前ヒアリングを行っていない
  • 起業のファイナンスを読んでいない
  • 株主がヤバい
  • 設備をケチらなかった
  • 同期がいない
  • 人を動かすも読んでいない

といった点がおろそかになっています。もしかしたらグリフィスの栄光はこの辺りから崩れていくかもしれません。

まだまだグリフィスの作る王国は理想的に回っています。ベルセルクはヤングアニマルで今も連載中(休載が多いですが)、今後鷹の団、ファルコニアはどうなっていくのでしょうか。もしグリフィスがうまく行かないとしたら、古俣さんの挙げていることのうち上記のような部分ができていないことが原因となるかもしれません。

株主とかヒアリングはもうこれからは何ともならないので、ぜひグリフィスには起業のファイナンスでも読んでもらって、あとは諦めずに挑んでもらいたいと思います。っていうか、グリフィスって一応悪役なんですけどね。