ラフォーレ原宿の「テプラ」モチーフ広告を巡り物議、ラフォーレと広告会社が謝罪「模倣の意図はない」

ラフォーレ原宿の「テプラ」モチーフ広告を巡り物議、ラフォーレと広告会社が謝罪「模倣の意図はない」

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キングジムのラベルライター「テプラ」をモチーフとした、ラフォーレ原宿の広告ビジュアルを巡り、ネット上で物議を醸していた件について、ラフォーレ原宿および企画・制作をした広告会社Wieden+Kennedy Tokyoが謝罪し、「模倣の意図はない」と説明しています。

ラフォーレ原宿の広告、他のクリエイターの作品に「酷似」と指摘

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「ラフォーレグランバザール」の広告ビジュアル

ラフォーレ原宿で1月23日から開催されている「ラフォーレグランバザール」の広告を巡り、酒井いぶきさんの作品に「酷似」している指摘がされ物議を醸しています。

問題となっている広告は、キングジムのラベルライター「テプラ」をモチーフに、"史上最も親切なセール"をコンセプトに、テプラで細かく説明するといったビジュアル。ラフォーレ原宿の館内にもテプラが至るところに貼られており、ネット上でも大きな話題となっていました。

テプラのシールをモチーフとした広告ビジュアルということで、多くの人が酒井いぶきさんによる作品を想像したようですが、広告の企画・制作を行ったのはWieden+Kennedy Tokyo社(以下、W+K社)。SNSでは「パクリ」疑惑の声が挙がっていました。

酒井さんは、自身のTwitterでラフォーレとW+K社と話し合いが行われていたことを明かしています。その上で「まじ許さねえよ」と怒りをあらわにし、「この規模でやられて、私が1mmも関われなかったのは本当に屈辱的だし悲しいし、無力」と心境を綴っていました。

騒動を受け、ラフォーレ原宿は1月25日、公式サイト上で問題の広告について「特定のアーティスト様から、ご自身の作品に類似しているとのご指摘がありました」「この広告は、広告会社に企画・制作を依頼したもので、模倣の意図はないとの説明を受けておりますが、当社といたしましては、アーティスト様に直接お会いして、ご不快な思いをさせてしまったことについてお詫びを申し上げたところです。引き続き、誠実かつ適切に対応してまいります」と説明。

W+K社も同日、公式Facebookで「世間の皆さまをお騒がせしておりますこと、心よりお詫び申し上げます」と謝罪。広告のデザインが酷似している件について、「今回のアイデアは、例えば注意書きだらけのコンビニのコーヒーマシンのように、誰にでも分かりそうなことを、やりすぎなほどに説明を貼ってしまうテプラ文化からヒントを得て作られました」と説明しています。

「広告が完成して掲出した後、「テプラ」を用いたアート作品を作成されているアーティスト様から、ご自身の作品に類似しているとのご連絡をいただきました。弊社はアーティスト様に直接お会いさせていただき、作品を再現もしくは模倣する意図は一切ないという点、および今回の企画意図をお伝えいたしました。今後も真摯に対応をさせていただきます」としています。

クリエイターが問題としているのは「酷似」ではなく"仁義"の問題

今回の騒動で酒井さんが問題としているのは、広告が自身の作品と酷似している点ではなく、いわゆる"仁義"の問題ではないかなと思います。

酒井さんは、テプラを使った表現を長く続けてきた背景があり、その上でこれまでラフォーレ原宿、W+K社、キングジムと一緒に仕事をしてきた経緯があります。

そして「テプラ使うなって話じゃ全くなく、やっちゃいけない事ってあるよ」「この規模でやられて、私が1mmも関われなかったのは本当に屈辱的だし悲しいし、無力」という言葉から察するに、相手側は酒井さんを知っているにも関わらず、今回の広告を制作している、という点について問題としていると思われます。

SNSなどクリエイターが自身の言葉を発するチャンネルが増えた現在、同様の問題は今後も起こる可能性があります。法的に問題がなかったとしても「クリエイターへのリスペクト」はどこまでするべきなのか、改めて考える良いタイミングが来ているようにも思えます。