「歳をとるのは怖くない。それは娘が介護士だから」転職サイトの広告が物議

「歳をとるのは怖くない。それは娘が介護士だから」転職サイトの広告が物議

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電車内に掲出された「歳をとるのは怖くない。それは娘が介護士だから」というキャッチコピーの広告がネット上で物議を醸していました。転職サービスを運営する「Ashley & 40makes」の広告で、ネット上では「娘が親の介護をしてくれるから安心」という意図だと捉えたとみられるユーザーから「現代のホラー」などの声が殺到。一方で「身近に信頼できる相談相手がいるから安心」という意図では、と読んだユーザーもいるようです。

「娘に介護してもらえるから安心」なのか「身近に信頼できる相談相手がいるから安心」なのか

Kaigo

電車内に掲出された「歳をとるのは怖くない。それは娘が介護士だから」というキャッチコピーの広告がネット上で物議を醸していました。物議の対象になっている広告は転職サービスを運営する「Ashley & 40makes」のもの。

5月10日にTwitterに投稿され話題になっていた投稿は現在削除されています。当該広告の写真は過去にも投稿されており、投稿主は「娘が介護士だからといって自分の後始末を娘に押し付けようと言う事を平然と言うこの根性、こいつの性根、マジで腐りきっとるな」と強い言葉で批判しています。

批判しているユーザーの声は「親の介護を娘に押し付ける」といった解釈をしているようで、「これは目を疑う」「娘の人生なんだと思っているんだ」「恐怖しかない」など批判的な意見が殺到。

一方で「身近に介護に詳しい人物がいるから相談相手として安心」という解釈もあるのではないか、という声もあがっています。

元ケアマネジャーとしての個人的な見解

介護福祉士として10年、介護支援専門員(ケアマネジャー)として5年、15年以上介護に従事してきた経験から個人的な意見ですが、当該広告の意図するところは「身近に介護に詳しい人物がいるから相談相手として安心」のほうではないかなと想像しました。

ですが「介護士」が持つ知識程度で「安心」とは言ってるのはヤバイ。最低でもケアマネージャーくらいの知識がないと安心できない気がします。

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介護のフリー素材がある「PAKUTAO」すごいですよね

現実的に「娘におむつ交換をしてもらいたい」と希望する親がどれほどいるのかわかりませんが、多くの人は子どもに介護されたくないと考えている気がします。少なくとも僕が介護に従事していた15年間で出会った利用者には1人もいませんでした。

広告にある「介護士」の主な業務は「直接処遇」(入浴介助、排泄介助など)です。批判の声があがっている「親の介護を娘に押し付ける」という解釈では、「親のおむつ交換を娘がやってくれるから安心」という意味になるので、ひどい広告というより「変わった人もいるもんだな」という感想。

実は世間には、娘におむつ交換してほしいと思っている人が大多数で、僕のであってきた人にたまたまいなかっただけかも知れませんが。

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また広告で「娘」とされている点も批判の声があがっていますが、介護職の多くは女性ですし、転職サイトの広告として「娘」となるのは当然ではないでしょうか?

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厚生労働省資料より「介護労働の現状」(PDF)

とはいえ介護保険サービスを利用する上で、介護保険制度に詳しい身近な人物がいるというのは、とても心強いと思います。「介護士」レベルの知識でも、知っていると知らないでは大違い。「悪いケアマネージャー」や「悪い介護事業者」とかめちゃくちゃありますしね。